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【作ってみた】引き出しからできたカラフルな真空管アンプ

初の自作真空管アンプ 高校生のときに初めて作った真空管アンプの紹介です。真空管は手元にある安価なものを6個使用しました。右の増幅に3つ、左の増幅に3つとふりわけられていて、整流回路にはダイオードを利用することにしたため、真空管は使いませんでした。そのとき、高校生だったもので、予算も限られていて、ATX電源のコンデンサー(一応松下製)を再利用して電源回路に組み込みました。 前段の電圧増幅には電流対電圧比が低い12AX7を利用しています。出力管には12AU7の片方が一つの真空管になっている6C4を利用しました。普段は出力管には使われない真空管ですが、電流対電圧比が比較的高い方なのでいけるなと思いました。この出力段ではこの6C4を並列にして、出力電流を増やしているつもりなのですが、正直1個でも足ります。 カップリングコンデンサにはオイルコンデンサー、出力トランスには春日無線変圧器のKA-1220、電源回路にはその前に組み立てた真空管アンプキットからのものを使用しました。 あと、ケースにはかなり凝りました(お金はかけていませんが)。実はこのケース引き出しなんです。処分することになった引き出しをマスキングテープやスプレー缶などを利用して、自分の好きな色に装飾しました。   今後の課題 初めての真空管アンプだったもので動いただけでも満足したのですが、音はイマイチですね。最初はハムノイズが大きくて、それを軽減するために整流回路の電圧降下をより大きくして、より大きな値のコンデンサで整流するようにしました。これにより、A電源とB電源の電圧は少しだけ低くなりましたが、ノイズは減りました。しかし、ノイズの一番の原因はこれではなく、多分設計ミスですね。12AX7での増幅を2段使用していて、しかもその間には減衰回路やトーンコントロール回路もないため、ゲインが高すぎるのです。設計段階でゲインを計算しなかったため・・・こうなりました。しかし、当初からなんとなくそんなことが起こるだろうなーと思ってゲイン調整ノブをちゃんとつけておきました(これ本当)。これで一応は普通のアンプとして利用できるようになっています。 あと、ケースは少し小さすぎるかなーという思いもあります。特に電源回路が出力トランスの真下にあり、しかもケースが木でできているので、多少の電磁誘導は起きているはずですよねw。 今後も真空管アンプも作ってみたいと思いますが、制作には非常にお金がかかり、非常に時間がかかり、高電圧を扱うし、設計には頭を使うので、正直まだ、実際にやってみようという段階には来ていないです。ただ、次の真空管アンプにはどういう真空管を使うかは決まっています。それだけです。それでは。

【駄作】ペルチェ素子を使った小型冷蔵庫

ええ、栄養ドリンクのケースを使っています。 学園祭に出そうと思った 高校に通っていた頃に作った小型冷蔵庫(駄作)です。もともとは学園祭の出し物として出す予定でしたが、駄作(後ほど説明)だったので結局出しませんでした。仕組みは極めて簡単で電気的部品はペルチェ素子とファンしか使っていないです(電源回路は別)。 ペルチェ素子の冷たい側を冷気に変えるための(ヒートシンク)及び放熱するためのヒートシンクは古いパソコンからとってきたものです。放熱する側のヒートシンクはファン付きで電圧に応じてファン速度が変わります。ペルチェ素子は12Vのものです。耐水と断熱のため、栄養ドリンクケースの中は100円ショップで買った保冷バッグを切ってはり付けています。 デザイン性無視です。 動作中、一応、中のヒートシンクは凍り付きます。 なぜ駄作か まず、中の飲み物があまり冷たくならないこと(致命的)。 2つ目、電気食いすぎ。 3つ目、熱気がすごい。 はい、冷蔵庫として機能していないので駄作なのです。でも、一応、内部のヒートシンクは結露が凍り付くほど冷たくなります。でも、空間にその冷気が伝わらないんです。断熱が不十分だったの原因でしょうか。 でも、使い物にならないわけではなりません。冬はちょっとした卓上ヒーターとして使えます(笑)。

【チャージャー3号制作記】携帯型充電器、遂に完成

シンプル・イズ・ベスト 完成 【チャージャ3号制作記】もついに「チャージャー3号」(携帯型充電器)の完成をもって終わりを迎えることとなりました。過去の記事をご覧になりたい方は以下のリンクをクリックを、 1回目:【チャージャー3号制作記】PCB基板を作成してみた 2回目:【チャージャー3号制作記】携帯型充電器、部品実装+通電 今回使った黒色のケースは秋葉原の千石電商で買ったタカチのものを使用しています。ポイントは簡単にカバーを開け閉めできることで、それによってリチウムイオン電池の交換も容易になります。正直、ボタンやLEDをケースに装着してもよかったんですが、とてもめんどくさそうだったのでやめましたw。穴は取り付け孔を除くと、内部電池を充電するための充電ポートと外部デバイス(スマホなど)を充電するための出力用のUSBを通すための穴しかあけていないです。ドリルの穴あけは極めて容易でした。 爆弾じゃないお! スマホ充電中  結論・感想 少々大きいですが、普通に使えます。多分飛行機とかには持ち込めないでしょうがw スマホ2台以上充電する場合は予備の18650リチウムイオン電池を持っていくといいかもしれません。

自作ヘッドホンアンプ

紹介 半年ほど前に作ったステレオ拡張回路付き、ヘッドホンアンプの紹介です。ここで紹介する「ステレオ拡張」とは難しそうですが、実際は非常に簡単で右の信号と左の信号の差を増幅するだけの話です。   「ステレオ拡張」の話 ステレオの音声の場合、音声信号は左と右にあわせて二つあります。通常、左の信号はLであらわされ、右の信号はRとしてあらわされます。しかし、少し角度を変えてみてみれば、LとRの信号の共通部分のCという信号も存在することがわかります。 ここでは左の信号のみに含まれる信号をL、右にのみ含まれる信号をRとします。 よって、右の信号は(L+C)としてあらわされ、右の信号は(R+C)としてあらわせます。曲によって違いますが、一般的にCには歌声(ボーカル)がのせられ、LやRには主にインストラメンタルがのせられます。 モノの音声の場合、LとRの信号の違いは存在せず、両方とも「C」です。しかし、ステレオからモノの音声を合成する場合、右と左、両方ともに、一般的に「0.5L+C+0.5R」の音声が送られます。 今回作ったステレオ拡張回路では前段の差動増幅回路で「(L+C)-(R+C)=L-R」と「(R+C)-(L+C)=R-L」の作動増幅を行い、いったん「C」の信号を排除します。次にこの信号をゲイン(A)が調整可能な反転増幅回路に送り、-A(L-R)と-A(R-L)の信号を出します。最後にこれらの信号をそれぞれ右の入力信号(R+C)と左入力信号(L+C)に加算し、出力波を合成します。 こうすると出力波はこのような式であらわされます。 片方:A(R-L)-L-C もう片方:A(L-R)-R-C 出力波の構成は中段の反転増幅のゲインが大きく関係していて、それによって、どれだけステレオを「拡張」したいかが調整できます。また、ゲインが0のときは終段の加算増幅回路は-(L+C)+0と-(R+C)+0の加算しかしないため、普通のヘッドホンアンプとして使用できます(信号は反転されますが、聞こえ方は変わらないです)。 Aを調整した場合の出力波は以下のようになります。  A= 出力波1 出力波2 A A(R-L)-L-C A(L-R)-R-C 0 -(L+C) -(R+C) 0.5 0.5R-1.5L-C 0.5L-1.5R-C 1 R-2L-C L-2R-C 2 2R-3L-C 2L-3R-C 5 5R-6L-C 5L-6R-C   仮想グラウンド オペアンプは大体、両電源で稼働するため、電池では「仮想グラウンド」を作る必要があります。今回、「仮想グラウンド」はカレントミラー回路というトランジスタで構成された回路で作りました。つかったトランジスタは日本で簡単に手に入る2SC1815とコンプリメンタリの2SA1015です。9V電池で稼働する場合、+電圧は+4.5V、-電圧は-4.5Vとなります。トランジスタの個体差により、グラウンド電圧が実際に「0V」にならない可能性がありますのであらかじめブレッドボードでテストしてから基盤に実装しました。また、入力につられて、グラウンド電圧が揺らぐことがありますが、個人的にはあまり差が感じられなかったので、ある程度の「揺らぎ」は許容しています。   使用するオペアンプ ICソケットを使用しているため、オペアンプは簡単に交換できるようになっています。最初は本当にオペアンプを変えただけで音が変わるか疑っていたんですけど、実際にオペアンプを変えて音の変化を感じられたので、色々試してみました。 どれか一つがいいというわけではなく、組み合わせが重要だと感じました。結局最後は初段(差動増幅)にOP275、中段(反転増幅)にOPA2134PAと終段(加算増幅)にNE5532の計3種を使うことにしました。 普通にヘッドホンアンプとして、一つのICオペアンプのみを通して聴く場合、OPA2134は湿っぽすぎて、OP275はシャリシャリしすぎている気がしました。なので、ニュートラルだと感じたNE5532を終段に使うことにしました。あくまでも個人的な意見なので、参考程度にしてください。   ケース ケースは近所の百円ショップで買いました。穴あけもさほど面倒ではなく、電池交換やオペアンプ交換の際、蓋が取り外せるのがいいですね。

【チャージャー3号制作記】携帯型充電器、部品実装+通電

税関であけられた~ 届いた! 待ちに待ったPCB基板が20日、中国から到着しました! 途中で「遅い!」というメールを送ったにもかかわらず、なんと、なんと、受注から約1カ月もかかりました。どうやら受注先も「problem」があったことは認めましたが、それでも、そこから数週間かかりました。まぁ、安いし、いいか。それに、税関であけられた痕跡もありましたし、工場から香港まで送るのに時間がかかったというのもあるかもしれません。 本題のPCBですが、個人的には出来がいいと思います。 肝心の基板です。右に縦に並んでいる黒い四角い物体は5Vレギュレーター(MINMAX M78AR05)でUSB端子に電気を送ります。USBポートは3つあるので同時に3つの機器を充電できます。 私の個人的なミスでマスキングし忘れた箇所が数か所ありましたが、致命的ではなかったのでおkです。前の記事でも記述したように、リレーのフットプリントの番号ふり間違えは少々厄介ですけど、リレーを基板上にのせなければ大丈夫です。 部品を実装し、試験的に通電してみると、予想通りにリチウムイオン電池が充電できました。基板上のLEDでは青が「充電中」、黄色が「充電完了」、緑は「5V電源来てます」を示しています。青いLEDの右にある小さくて黒いICがこの回路の心臓部、MCP73833(詳細は以下の「主な部品」)です。また、充電と放電(スマホ充電など)を切り替えるためにさらに右にあるリレーを使用しています。リレーはPCB上に実装できない設計をしてしまったので、ワイヤを通してリレーを浮かせてつなげています。   充電の様子。青色LEDが光っているので、リチウムイオン電池の充電中だということがわかります。使用しているリチウムイオン電池は18650型のものです。 過放電防止の作動電圧の問題 次にUSB端子を通して、スマホ充電を試みてみると、うん?過放電防止回路がリチウムイオン電池2個の直列電圧が8.5Vくらいで作動していることが判明。原因はP型MOSFETの電圧降下を考慮していてなかったことと、他の値のツェナーダイオードを使ったしまったこと。電圧降下と言っても0.1V位ですので、大半は後者が原因です。ツェナーダイオードは他になかったため、分圧抵抗器の値を変え、無事解決しました。スマホなどの外部デバイスを充電するときはプッシュボタンを押し、5Vレギュレータへの電源供給が開始します。このとき、”USB Active”のLEDが光り、ちゃんと電気がとどいていることを示してくれます。一度、設定した作動電圧以下にリチウムイオン電池の電圧が下がると、スマホ充電は止まります。作動電圧はリチウムイオン電池の終止電圧に基づいて決めました。   黄色LEDが光っているので、リチウムイオン電池の充電が終わったということがわかります。 終止電圧と私のスマホの話 なお、終止電圧は7V位(1セルあたり3.5V)に設定しています。普通に売られている製品(携帯電話とか)だと3V~3.5V位らしいんですが、CGR18650C電池の放電曲線を見ますと、3.5V以降は急激に電圧が低下することがわかり、3.5Vに設定しました。ちなみに私のスマホのLi-ion電池の終止電圧は3.6Vでした・・・。電池の減りが速いと思ったら、実際は放電を高い電圧で止めていたんですね。そのスマホのメーカーは内蔵された電池のメーカーと一緒なので、電池の寿命を最重視してこのような値に設定したのでしょうか。謎です。 補足ですが、このチャージャー3号(1号と2号も)この電池の減りの速いスマホを外出先でも充電できるようにと思いで作りました。   試験的使用 早速、スマホを充電してみると、無事100%まで充電できました(スマホの電源を切っている時の充電)。でも、リチウムイオン電池の容量(2150mAh)を考えると2台フル充電するのはきついですかね。しかし、大容量の電池を買えば簡単に容量アップできますし、充電された18650型のリチウムイオン電池をさらに2個持ち歩けば、さらにMP3プレーヤーやほかのデバイスも充電できることでしょう。   主な部品 リレー – “HSIN DA 941H-2C-5D” 秋月で売っていた安くて良いリレーです LED – “LENOO L053SBLD”(青色) 千石で売っていました。青色は小さい電流でも明るいですが、赤、黄色や緑は同じ明るさにするのにより電流が必要です。とりあえず同じ色同士の明るさにムラがないのでいいです。 “MCP73833” – マイクロチップ社が作るリチウムイオン充電ICです。RSコンポーネンツから買いました。 P型MOSFET “2SJ681” – 過放電を防ぐための「ダム」として出力回路に組み込んでいます。安いです。 コンパレータIC “LM339” – リチウムイオン電池の電圧が設定した終止電圧よりも下回ったことを察知するための過放電防止回路に組み込んでいるICです。内蔵されたコンパレータの4つのうち1つしか使っていないので他のコンパレータICでもよかったかもしれません。 5V定電圧レギュレータ “MINMAX M78AR05” – 高い変換効率(94~86%)を誇るレギュレータです。このことから、7805のように触れないほど熱くはなりません。電池駆動なんで、最低入力電圧が6.5Vというのもうれしいですね。少々高いのが欠点です。また、出力電流は500mAまでですけど、実際にそれ以上の電流を引くデバイスはそう多くないように感じます。   今後 今後はケースを作って楽に持ち歩ける、「携帯型」にしたいです。気が向いたら、作って投稿します。それではまた。

Arduino EPROM リーダー・ライターを作ってみた

M27C1001 UV-EPROM 図書館で借りてきた本にUV-EPROMに関する記述があり、興味を持ったのでEPROMリーダー・ライターをArduinoをベースで作ってみた。 UV-EPROMとは UV-EPROMとはUltra-Violet Erasable Programmable Read Only Memoryの略で「紫外線でのみデータを消去できるメモリ」と考えて良いかと思います。そのため、UV-EPROMには紫外線をIC内まで通すために天窓のようなものがついています。何もプログラムしていない状態のEPROMはデータがすべて「1」です。そこに「0」を書き込んでいく形でEPROMはプログラムされます。一定時間の間、UV-EPROMに特殊な紫外線(波長が短い紫外線)を当てると内容はすべて「1」にリセットされます。 今回、作ったEPROMライターは手元にあったEPROM、27C64、27C128、27C256、27C1001(27C010)を対象にしたリーダー・ライターです。27C512を入れなかったのは27C512だけVppがなく、単純に面倒くさそうだったからです。 ブレッドボードにおける試作機。パラレル通信の面倒くさい点はこのように配線が多いこと。 制作過程 これらのUV-EPROMは今、多く出回っているEEPROM(シリアルEEPROM)とは違い、パラレル通信でアドレスやデータのやり取りをします。このため、ピン数が多く、Arduino DuemilanoveなどでつかわれているATMEGA328などではピン数が足りません。そこで、シフトレジスターを使うことにしました。 シフトレジスタを使うことにより、あまりピンを使わないシリアル通信でシフトレジスタに命令を送り、UV-EPROMとやり取りさせるようにできます。シフトアウトレジスタの場合、図で簡単に示すとこんな感じです。 Arduino→(シリアル通信)→シフトアウトレジスタ→(パラレル通信)→EPROM しかし、これだけではEPROMからデータを読み取れないのでシフトインレジスタも使う必要があります。シフトインレジスタだとこんな感じです。 単純な回路なのに、配線は結構面倒。 EPROM→(パラレル通信)→シフトイントレジスタ→(シリアル通信)→Arduino これら2種類のICだけでリーダー・ライターができちゃいます。今回使ったICは74HC595シフトアウトレジスタと74HC597シフトインレジスタです。もちろん、同じような機能を持つICでも回路は簡単に作れると思いますが、NJU3711(8ビット、シリアル-パラレル変換IC)などのICの場合、出力をディセーブル(高インピーダンスに切り替える)する機能がないため、EPROMのデータピン(D0~D7)でつかう場合は74HC541などの出力ディセーブル機能のあるバスバッファを介さないとデータ読み取りの際に支障が出るかもしれません。これは上記したEPROM(27c~)の性質上で同じデータピンが入力と出力両方に使われるためが原因です。 M27C1001/010の場合、アドレスピンが17つもあるため、8-ビットのシフトレジスタ(74HC595)二つでは足りないという問題がありましたが、Arduino側で余っていたI/Oピンで対処しました。今回使うEPROMはすべてデータは8ビットで記録されているため、データ用のシフトインレジスタ(74HC597)とシフトアウトレジスタ(74HC595)はそれぞれ一つで済ませることができました。万が一、書き込み時にデータ用のシフトアウトレジスタの出力がディセーブルされた場合(この場合、データに00000000が書き込まれてしまう)に備えて、データピンはすべて+5Vにプルアップされています。   ブレッドボードで試作機を製作した後、TinyCadで回路図を作り、ユニバーサル基板で実際のリーダー・ライターの制作に取り掛かりました。PCBにしてもいいか迷いましたが、設計では4種のEPROMしか扱えないことやリーダーライターは一台で足りる(PCBを頼むと複数枚頼まないといけないところが多い)ということで断念しました。 Arduinoのシリアルコンソールのキャプチャ。ASCIIの0~31は□みたいな記号に置き換えています。 配線はかなり面倒でしたが、短期間で終えることができました。 しかし、本番はここからでArduino用のプログラムを作成しなくてはなりませんでした。最初に作ったプログラムはアドレスごとにデータをバイナリで読み取るもので、そこから、右の図のような16進数でアドレスとデータ16組をまとめて一行に表示し、一番右にASCIIキャラクタを出力するプログラムを作りました。この表示形式はEPROMリーダーでは一般的のようです。 ArduinoはEPROMからのデータを読み取った後に毎回パソコンへそのデータをUSBを介して送るため、ボーレートの値を上げることで読み取り速度および書き込み速度(Verifyモードを使うとき)が上がります。今回は250000ボーに設定しました。TeraTermなどのソフトを使えばそれ以上の値を設定可能ですが、Arduinoのクロック(16MHz)のせいか、250000以上の値ではうまくいきませんでした。 完成です。右奥に見えるのはArduino互換機。リード・ライトするEPROMの種類に応じてスイッチの設定を変えます。32ピンのZIFFソケットが売られていなかったので40ピンのものを使っています。  Vppの問題 Vppは20V代のものもあれば今回使ったEPROMのように12V位に設定されているものもあります。しかし、USBでは+5Vしか供給されないため、それをVpp電圧まで昇圧して使うか、ほかのところから電源を引っ張ってこなくてはなりません。今回は予算や手間も考慮して、私が持っていたATX電源の+12VをVppとして使いました。(使う前に必ずGND間に電圧差がないか確認してください) 最後に 簡単な自作CPUの制作を視野に入れているので今回このEPROMリーダーライターを作りました。今日のEEPROMやFlashメモリを見ると、UV-EPROMの時代からどれだけ技術が進歩したか実感できますね。

KiCadにおけるビア・配線設定

ビア及び配線設定はデザインルールの「グローバルデザインルール」から編集できます。 マイクロビアは使わないのでそこの設定はいじってないです ビアの直径 ドリルする穴の直径 配線幅 ビア1 0.6 0.3 配線1 0.16 ビア2 0.9 0.5 配線2 0.2 ビア3 1.5 0.9 配線3 0.5 ビア4 4.0 3.2 配線4 1.0 (mm) あくまでも例です。私はあまり設定をごちゃごちゃにさせるのが嫌いなので、4つにまとめています。配線幅は標準で0.2を使いました。電流が多く流れる箇所は0.5や1.0で配線すると安心です。 単位はmilではなく、mmなので気を付けてください。また、ビアや配線の設定クリアランスと同様、発注先の制限を調べてから設定すると賢明かもしれません。 基板に取り付け孔をつけたいときは3.2mmのドリルもしくは上のテーブルの「ビア4」の設定を使うと便利です。

【チャージャー3号制作記】PCB基板を作成してみた

使用する18650リチウムイオン電池 自分でPCBを設計し、発注することに憧れみたいなものを感じていたので早速PCB基板を作ってみた。 今回、作ったのは携帯型充電器用のPCB基板。携帯型充電器を作るのは3度目だから今のところ、「チャージャー3号」と呼んでいる。前作の「チャージャー2号」でリチウムイオン電池の充電につかっていたMCP73861というICが生産終了になったとのことで後継ICのMCP73833をつかうことにした。また、2号にはなかった、電池の過放電を防止するための過放電防止回路も組み込んでみた。 過放電防止回路はコンパレータとp型MOSFETで構成された簡単なもので一度設定電圧以下に電池の電圧が下がると、放電はMOSFETによって止められる。 設計につかうソフトはいろいろ迷ったが、CERNが援助しているというKiCADというソフトでとりあえず作ってみることにした。 KiCadでの回路図設計は正直イマイチ。いままで回路図設計はTinyCADというソフトで済ませていたが、KiCadはTinyCADと違い、部品の位置を変えたときに、配線がついてこない。だが、KiCadは一貫してPCB設計まで色々と部品や配線をを関連付けしてくれるため、PCB設計までを視野に入れれば、KiCadで回路図を設計したほうが効率的だろう。いちいち説明していたら長くなりそうだから、大まかな手順を示す。 チャージャー3号のPCBを作ったおおまかな手順(KiCad) 1. 回路図設計&ブレッドボード上で重要な箇所の動作確認 2. 回路図上の部品をフットプリントという実際にPCBで示す部品の形状と関連付ける。 MCP73861を使ったチャージャー2号。低電圧インジケータはついているが、3号のように過放電防止回路はついていない。 3. PCB設計画面にフットプリントを挿入する。フットプリントでのピン番号と回路図でのピン番号が合致しない場合(回路図では1、2だったのがフットプリントでは15、16であった場合とか)はここでエラーが表示され、フットプリントを編集しなくてはならない。 4. PCB上での大まかな配置を決める。このとき、部品の配線先を示すラッツネスト(ラッツ)という線ができるだけ、交差しないような配置にする。(交差点が多ければ多いほど配線が複雑になる傾向がある。) 5. PCBの発注先が指定した制限(配線の幅や配線同士の最小間隔など)をKiCadのデザインルールに取り入れる。また、基板の大きさによって値段が変わる場合は決めた寸法内に収めるようにする。(このプロジェクトの場合はぎりぎり10cmx10cm内に収めた) 6. 実際の配線作業を始める。今回、GNDは背面でまとめる予定だったから、GND以外の配線をできるだけ正面で済ませるように配線した。必要があれば途中でビアという穴を配置して、配線を背面から正面へ、正面から背面へ変更することができる。 7. 配線がすべて終わったら、チェックを実行して、配線を忘れた箇所がないかを確認する。 8. シルクスクリーンにグラフィックなどの飾りを入れたい場合はKiCad内の「BitMap2Component」ツールを使い、pcbnew形式(.mod)で保存する。サイズを変えたい場合はhttp://escalalibre.com/edwt/kicad_sizeConverter.phpにある専用ツールを使い、レイヤも指定しましょう。このツールを使う際はあらかじめ、「BitMap2Component」に入力する前のBMPファイルのグラフィックが縁から適度に離れていなければ、後のステップにおける”DP”が現れない。専用ツールの出力をダウンロードしたら、ファイルをノートパッドで開き、「DP」という文字列を検索する。最初のDPから2番目のDPの間の内容、そして最初の「DP」をすべて削除する。面倒かもしれないが、これをしないと左上にある線が取り除かれない。modをインポートする際はpcbnewで設定→ライブラリ→追加でファイルを指定し、PCBに追加したい場合は「モジュールの追加」ボタンで(全モジュール一覧から選択し、)追加する。 8. シルクスクリーンが外形からはみ出ていないか、(フットノートを編集した人は)フットノートのピンアウトが正しいかなどを確認し、PCB基板作成用のファイルを出力する。プロット設定については省略する。 注文後にリレーのフットプリントのピン番号を間違えたことに気が付いた。orz まあVer1.0だし、リレーを基板上ではなく、ワイヤを通じて接続すれば、問題は解消できるのでよしとしよう。 9. 今回はseeed studioというかなり安くPCBを作ってくれる会社に発注し、その会社の注文形式に従って、ドリルファイル(.drl)の拡張子は.txtに変更、基板外形データ(.gbr)をgmlに変更し、拡張子以外の部分(ファイル名)を統一した。 合計で8つのファイルを以下の形式でZIPして送った。 「ファイル名.gtl」 – 表面導体層 「ファイル名.gbl」 – 表面導体層 「ファイル名.gts」 – 表面のレジスト 「ファイル名.gbs」 – 裏面のレジスト 「ファイル名.gto」 – 表面のシルクスクリーン 「ファイル名.gbo」 – 裏面のシルクスクリーン 「ファイル名.gml」 – 基板外形 「ファイル名.txt」 – ドリルデータ 10. 注文後は待つだけ。   これすべてを一日(徹夜して)でやったせいか、PCBのリレーのフットノートのピンアウトを間違えて記入してしまった。リレーを基板上に設置しなければ、問題は解消できるからいいか。ほかにもちょっとしたミスや気になることもあるだろうし、とりあえず初PCBということでおkとしよう。